施工

 プランニングを行う時にプロと素人が違うのは、プロは作り方(施工方法)を知っているというところだと言う事もできます。仕事として庭等を作って引き渡し、代金の回収を行う場合は、施工方法もDIYで作るものとは違います。硬い見方から言うと契約上の外構の瑕疵担保期間は2年なので、最低でも2年間はガタがこないようなものを作らなくてはなりません。常識的に考えてもお金を払ったのにすぐに壊れたらクレームをつけますよね。ガーデニング的にみるとそれがオーバースペックの場合もあるのですが、自分で作るなら我慢できるものでもお金を払うとなると許せないのが人情です。耐久性だけでなく仕上がりのきれいさも、ケチの付けられないような施工方法でなければなりません。

 巷で見られるガーデニングの本にはDIY志向の読者を対象としたものが多いので、必ずしも参考になりません。教室で施工方法として教えるのはレンガ工事、石貼り、樹木の植込み、飛石の据付などです。またそれとは別にその年によって実習としてモルタル仕事をしてみたり、ラチスのフェンスを立ててみたりしました。

 Web上では実習というわけには行かないので施工写真を見ながら説明します。大方の工事で最も最初に行う共通した作業は、遣り方(やりかた)位置出しです。レンガなどをまっすぐ水平に積んだり敷いたりするために、基準となる糸を張る作業です。これがこれ以降の作業の効率からいっても大変重要な作業なのですが、あまり紙面で解説されることはありません。

レンガ敷き

予定の位置より少し大きめに杭を打ち、水盛り管や水平器、レベルなどの測量器を使って水平の印を付けていく。
 基準となる高さ(そろえるべき既存の床など)から材料の厚み分を逆算していき、掘削の深さを決める。

 目印に張った糸から深さを当りながら土を掘る。

 掘削した状態。縁はモルタル基礎の分だけ深めに掘ってある。

 周囲はモルタル基礎で固定しないと乗った場合にレンガが転んでしまう。

 周囲にモルタル基礎のための砕石を敷く。
 周囲を先にモルタルで固定していくが、予め仮置きして配置を確認する。

 レンガは一つ一つの歪が大きいので、寸法ぎちぎちでは入らない。

 どの程度余裕をもたせるかをこのときに確認する。

 用意したモルタルは砂:セメントが3:1のもの。写真はまだ空練状態。

 基準となる糸(水糸)と水平器を使いながら縁のレンガを固定していく。
 縁を先行して固定した状態。杭に貫板を打ちつけたものが遣り方(やりかた)。
 やや水を少なめにした硬いモルタルを敷いて、内部のレンガを据えていく。レンガを一つ一つ叩きながらそろえていく方法と、手前のように簡易な定規を作りモルタルを先に全体に敷き均す方法がある。私としてはできることなら後者のように先にモルタルを敷いてしまう方法をお勧めする。固定する前にレンガの微調整ができるし、作業が早い。

 次の写真は後者のやり方。

 敷き均したモルタルの上にレンガを仮置きし、全体の隙間を調整する。

 調整が済んだら長めの角材などを当てながらハンマーで叩き、モルタルになじませる。一つだけを叩かないように注意。

 敷き終わったらセメントと圭砂で空モルタルを作り、目地に振り掛ける。この空モルタルはセメントを少なめにし、水を全く加えないさらさらの状態でないと入らない。全部入ったらジョウロなどで水を掛けセメントに水分を与える。そうしながら掛けた水が乾かないうちに手早くスポンジでレンガの表面を拭き、余分なセメント分を完全に拭き取る。

 上記のレンガ敷きはプロ一人で約一日分の仕事です。目地の仕上げはレンガが乾いていないとできないので後日にしましたが、計画したプランを施工するのに何人くらいかかるかを積算できるのもプロとして必要な能力です。

 この仕事が一日でできるのは形が直線だからです。これが曲線だとまず基準となる水糸が張れません。そのため縁を決めるだけでも5割増しくらいの時間がかかるはずです。さらに曲線に四角いレンガを合わせるために、切断作業が数多く発生します。これで2倍は時間が掛かります。きれいに収めれば収めるほど手間が掛かります。暇にまかせて行うDIYならともかく、これらの手間はコストに大きく影響します。

 はじめにプロの仕事としておことわりしましたが、これをもしもっとガーデニング的に行うとすれば、どこが変わるでしょうか。ガーデニング的ということは、作り替えやすいということでもあります。その場合にあまりにセメントが効いていると、解体も掃除も大変です。土に帰しにくくなりますから。

 まず行える手抜き(?)は内部のモルタルをただの砂に変えることです。エクステリアのインターロッキングなどでは砂決めは一般的な施工方法です。ただ庭ではそのうち砂の目地から雑草が生えてきて美しくありません。

 つぎは砕石を止めることでしょうか。土を丁寧に均して砂を敷きレンガを並べていきます。せめて縁だけはモルタルで固定することをお勧めします。だんだんDIYに近づいてきました。砕石をやめればはじめの掘削もその分少なくなります。

 最後はセメントを一切使わずに土を突き固めて固定していく土決めです。材料としてはレンガしか使わないので簡単ですが、きれいにそろえるのはほとんど不可能に近いので、お客様が楽しみで作るときにしか、行われません。

ホーム  次へ