はじめに

 はじめに断っておかなくてはならないのですが、私はガーデニングだけで生計を立てているわけではありません。園芸の専門家でもありません。ですからガーデニングの先生と呼ばれることに少々ためらってしまうところがあります。詳しくはプロフィールを見ていただけばいいのですが、現在は一人で外構、造園、エクステリア専門の設計事務所を営んでいます。でもこの講座は将来ガーデニングを何か仕事に結び付けたいと考えている人を対象としていますので、現実的にガーデニングに携わっていくためにこそガーデニングより少し広い範囲の知識が必要になってくると思っています。有名な造園家のように庭作りだけで生計を立てていくのは大変難しいのが現実です。そのため園芸店で働きながらお客の庭造りを手伝ったり、エクステリアの会社に勤めながらお客に庭の提案もしていくとかつぶしの効く人材になっていくことが必要だと思います。私の講座を受けて有名なエクステリア会社に入った人もいますし、庭だけでなくインテリアグリーンまで手がける会社で働くようになった人もいます。実際そういう人を見るとまんざら自分の考えは間違っていなかったように思います。

ガーデニングって何

 ガーデニングというのは本来庭いじりのことです。でも今日使われているガーデニングという言葉には、庭とは言えないインテリアグリーンやコンテナガーデンなども含まれています。この講座の中ではガーデニングという言葉を下図のように位置付けて使っていこうと思います。

 空間を作っていく作業で一番大きな概念はランドスケープだと思います。これはなかなか日本では当てはまる作品が無いくらい大きなエリアを対象としているものです。

 その次に来るのは建築だと思っています。建築が先か造園が先か意見の分かれるところだと思いますが、本来の建築の計画の中には周囲の景観や外構までも含んでいるものだと思います。

 その建築の中にエクステリアとインテリアがあります。インテリアはご存知のとおり室内のことです。それに対するのがエクステリアで、外構というのもほとんど同じ意味に使われます。エクステリアには塀や門扉の硬物ばかりでなく造園も含みます。この辺も分けて考える人もいると思います。

 造園とガーデニングは似ていても少し違います。造園には公園などの公共造園が含まれますが、コンテナガーデンやインテリアグリーンのように土の無いところの園芸などは含まれないと思っています。インテリアグリーンまで手がけている造園家の方には異論があるでしょう。

 園芸とガーデニングも重なっていますが、同じではないと思っています。例えば盆栽などは園芸の一分野だと思いますが、ガーデニングで扱うことはありません。

 本来のガーデニングは庭いじりですからオーナーが作っていくところに意味があります。”手作りの”という意味がもともと含まれているものだと思います。それをビジネスに結び付けていこうというのですから造園とは違ったありかたがあるはずです。

 上の図に職業を結びつけて考えるともう少し具体的なイメージが湧くと思います。

 まず、ランドスケープを職業としているのは建築系の中でコンサルタントと呼ばれている設計事務所です。彼らが扱っている図面の中には個々の建物は小さすぎて現れてきません。それだけ大きなスケールの計画を扱っています。

 建築というと建築設計事務所やゼネコン、工務店、ハウスメーカーなどです。そのどの職種でも外構やエクステリアまでを含む可能性があります。

 つぎに造園を職業とするとなると、公共の造園設計を行う造園設計事務所か、施工を行う造園会社、更に個人庭まで扱う植木屋さんなどです。もちろん得意不得意はあると思いますが、何かしらガーデニング関係の仕事を行う可能性もあります。

 これが園芸となると、花屋さんや園芸店など小売業が中心になります。最近はホームセンターなども無視できません。ホームセンターなどで施工も行うところも珍しくありません。

 ちなみに私は造園やガーデニングを含んだエクステリアの設計と施工管理で生計を立てています。

 実際のプランニングの仕事の中でこれは造園、これはガーデニングと分けられているわけではありません。お客様の求めるものの中に完成された庭もあるでしょうし、自分から作っていく庭もあります。それらが同時に存在するのが普通です。

 ガーデニング的提案が造園と違うところは、ある程度将来の姿を見越して提案していくことです。小さな苗がある季節になったときにはこのくらいの大きさの株になってこんな花をつけます、という説明が出来なくてはなりません。花の無い時の姿もわかっていないといけないというのは、プランナーとして当然だと思うのですが、あまり教えるところがありません。

 草花の知識はあるに越したことはないのですが、自分などはメンテナンスに手間のかかる草花は始めからお客様にお勧めしないので、園芸のエキスパートでなければできないということはありません。でもプランの中でお勧めする種類くらいは自分で育てて見てどの程度世話を焼かなくてはならない種類なのかは確認しておく必要があると思います。自分で育ててみると、説明にも説得力がつくものです。

 伝統的な造園という世界では時を重ねたものが美しいという暗黙の価値観があります。侘び寂びに通ずる美意識だと思います。そのため作るものも始めから古びたように作ることもしばしばです。ピカピカしたものは好まれません。庭のメンテナンスも樹木の生長を抑える手入れが基本です。

 それに対してガーデニングは季節毎に今度はどういう花を咲かせようかと考え庭を作り替えていく作業です。毎年毎年新しく花を咲かせるのがガーデナーの喜びなのです。この差は大きいです。ガーデニング的発想からすると耐久性などはあまり重視されません。フェンスや枕木もいずれは腐っていくことは承知の上なのです。

 でもプランナーとして提案する場合は、工作物の耐久性にもある程度留意してください。造園工事となるとそう安いものではないので、あまり短期間に腐ったり壊れたりしたらお客様も納得しないはずです。ここは巷で見かけるガーデニングの情報と違うところです。高いお金を払っただけのことはあるね、と言ってもらわなくてはならないのです。

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